平成31年度の老齢年金額が決まりました<年金額の推移と改定ルール>

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毎年1月に新年度の老齢年金の額と国民年金保険料が厚労省より公表されます。

平成31年度の老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給額が公表されました。

年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに、改定率がプラス0.1%となりました。

平成31年度 新規裁定者の年金額(月額)
老齢基礎年金:65,008円
(国民年金加入40年の満額支給額)
老齢厚生年金:221,504円
(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)

老齢年金の年金額推移との年金額改定ルールについて記事にしました

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年金額の推移(新規裁定年金)

年度改定率基礎年金厚生年金
H27(2015)+0.9%65,008221,507
H28(2016)0.0%65,008221,504※
H29(2017)-0.1%64,941221,277
H30(2018)0.0%64,941221,277
H31(2019)+0.1%65,008221,504

※H28年度は改定率0%ですが、年金額(年額)の端数処理がそれまでの100円未満四捨五入から1円未満四捨五入に改められ、差額が生じました。

基礎年金
老齢基礎年金の年金額は、20歳から59歳までの40年間加入した場合の満額支給額です。

厚生年金
老齢厚生年金の年金額は、夫が平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の老齢基礎年金を含めた年金額です。

年金額の改定ルール

基本
新規裁定年金…賃金変動ベース
既裁定年金…物価変動ベース

年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)は賃金変動、受給中の年金額(既裁定年金)は物価変動をベースに改定することが基本です。

物価変動率
=前年の全国消費者物価指数変動率

賃金変動率
=名目手取り賃金変動率
=前年の全国消費者物価指数変動率
 ×2~4年度前の3年分平均実質賃金変動率
 ×可処分所得割合変化率(定率-0.2%)

新規裁定年金は65歳から支給されますが、この新規裁定年金は67歳になる年度の年度末まで続き、既裁定年金は68歳になる年度から支給開始となります。

これは、新規裁定年金のベースとなる賃金変動率が、2~4年前の変動率を用いていることによります。

複雑な改定ルール

ただし、給付と負担の長期的な均衡を保つために、物価変動と賃金変動の様々な場合を想定し、複雑な改定ルールを定めています。

下図①~⑥の場合に分けて改定ルールが決まっています。

(出展)日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/gakukaitei/201805-8.files/D.pdf

図の説明

①②③「物価変動<賃金変動」の場合は基本通り、新規裁定年金は賃金変動、既裁定年金は物価変動としています。

④⑤⑥「物価変動>賃金変動」の場合は、年金の支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、既裁定年金も賃金変動としますが、新規裁定者・既裁定者両方に対する配慮として、例外的に、両方とも④は物価変動、⑤は変動なしとしています。

ただし、平成33年度からこの例外もはずされ、「物価変動>賃金変動」の場合は、既裁定年金も賃金変動に統一されます。

改定ルールの推移

年度物価賃金適用ベース
H27(2015)+2.7%+2.3%賃金+2.3%
H28(2016)+0.8%-0.2%ゼロ0.0%
H29(2017)-0.1%-1.1%物価-0.1%
H30(2018)+0.5%-0.4%ゼロ0.0%
H31(2019)+1.0%+0.6%賃金+0.6%

本来は、新規裁定年金の改定は賃金変動ベース、既裁定年金の改定は物価変動ベースになるところですが、改定ルールによリ両裁定に同一ベースの適用が続いています。

H31年度の改定では、物価変動と賃金変動がともにプラスで「物価変動>賃金変動」となり、⑥の場合となりました。その結果、新規裁定、既裁定ともに賃金変動ベースで改定することになりました。

さらに以下のルールが加わります

上記改定率に、さらに特例水準解消とマクロ経済スライド調整率が考慮されることになります。

特例水準解消

平成12年度から14年度にかけて、物価下落にもかかわらず、特例法でマイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いたことなどにより、本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)で支払われています。

この特例水準について、将来年金を受け取る現役世代の年金額の確保につなげ、世代間の公平を図るため、平成25年度から27年度までの3年間で解消することになりました。

特例水準解消のスケジュールは、H25年10月▲1.0%、H26年4月▲1.0%、H27年4月▲0.5%となっており、平成27年度で特例水準は解消されています。

マクロ経済スライド調整率

公的年金被保険者の減少と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率が設定され、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するものです。

賃金・物価変動率がともにプラスの時に、改定率がマイナスにならない範囲で適用します。

マクロ経済スライドによるスライド調整率
=2~4年度前の3年分被保険者数変動率
 ×平均余命の伸び率(定率▲0.3%)

マクロ経済スライド未調整分の繰り越し

マクロ経済スライド調整は、年金額の改定率がマイナスにならない範囲で適用する決まりになっており、調整率を反映できない年度があります。

平成30年度より、この反映しきれなかった調整率を、将来世代の給付水準の確保や、世代間での公平性を担保する観点から、翌年度以降に繰り越すことになりました。

賃金・物価変動率がともにプラスの時に、改定率がマイナスにならない範囲で繰り越した未調整分を適用します。

平成30年度の未調整分が繰り越しの対象となり、平成31年度に適用することになりました。


(出展)日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/makurokeizaisuraido/20180517.files/E.pdf

マクロ経済スライド調整率の推移

年度ベーススライド実施繰越
H27(2015)+2.3%-0.9%する -
H28(2016)0.0%-0.7%しない -
H29(2017)-0.1%-0.5%しない -
H30(2018)0.0%-0.3%繰越 -
H31(2019)+0.6%-0.2%する-0.3%

マクロ経済スライド調整は「ベース」がプラスの場合に適用されます。

平成30年度に適用されなかった調整率が繰り越され、平成31年度に適用となりました。

年金額改定率の推移

以下の3制度を重ねることにより、年金額が改定されています。

  • 年金額改定の基本ルール
  • 特例水準解消
  • マクロ経済スライド
年度ベース解消マクロ改定率
H27(2015)+2.3%-0.5%-0.9%+0.9%
H28(2016)0.0% -0.0%
H29(2017)-0.1% --0.1%
H30(2018)0.0% -0.0%
H31(2019)+0.6%-0.5%+0.1%

年金額の改定ルール見直し

平成28年度の法改正により、平成33年度(2021年度)より改定ルールの見直しが行われます。

H31年現在、賃金変動が物価変動を下回る場合、年金制度の持続可能性・現役世代の負担を考慮して本来「賃金スライド」で年金額を改定するべきところ「物価スライド」、「0スライド」を適用しています。それを2021年度より本来の「賃金スライド」に見直す予定です。(下図④⑤)

(出展)日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/gakukaitei/201805-8.files/D.pdf

まとめ

年金額の改定ルールはとても複雑です。

  • 基本として、新規裁定年金は賃金変動ベース、既裁定年金は物価変動ベース
  • 賃金変動と物価変動の組み合わせにより6通りの改定ルールがある
  • マクロ経済スライド調整率で年金額の上昇を抑えている
  • 今後、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とするためのルール変更が控えている
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